~非常時に“何を動かすための発電機”なのか~

災害や停電時に頼りになる「非常用発電機」。
ひとくちに非常用といっても、「保安用発電機」と「消防用発電機」では、目的や動かす設備が異なります。
ここでは、その違いをわかりやすくご紹介します。

消防用発電機とは

「命を守るための設備を動かす発電機」です。
消防法に基づき、火災や停電が起きた際にも以下のような消防・避難設備が動作するように設置されます。

  • スプリンクラーや非常放送設備
  • 火災報知器、非常照明
  • 排煙設備、非常用エレベーター など

これらの設備は「避難時に人命を守る」ためのもの。
そのため、設置や容量・燃料時間などが法令で厳しく定められています。

消防用発電機は、あくまで火災時や緊急避難時に限定して稼働する発電機です。

保安用発電機とは

「施設の安全と生活を維持するための発電機」です。
消防設備以外にも、災害や停電中に必要となる以下のような設備を動かすことが目的です。

  • 給水ポンプや浄化槽ポンプ
  • 空調・換気設備
  • 通信・防犯カメラ
  • 冷蔵庫・冷凍庫・PCサーバー
  • 医療・介護機器 など

つまり、停電時でも業務や生活を続けるための“実用電源”が保安用発電機です。

消防用と異なり、法令上の設置義務はありませんが、BCP(事業継続計画)や災害対策の観点から導入が急増しています。

違いをまとめると

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項目消防用発電機保安用発電機
主な目的消防・避難設備の稼働生活・業務の継続
主な対象設備非常照明、排煙設備、非常放送など給水ポンプ、通信機器、冷暖房、介護・医療機器など
根拠法令消防法任意(BCP・災害対策として設置)
稼働タイミング火災・避難時のみ停電・災害時すべて
稼働時間法令で短時間規定あり(例:30分以上など)長時間運転も可(燃料次第)

なぜ保安用発電機が求められるのか

近年の災害では、「火災」よりも「長期間の停電・断水」で施設運営や入居者の生活が困難になるケースが多く報告されています。

特に高齢者施設・病院・工場では、停電が長引くことで安全管理・医療・生産が止まってしまうリスクがあります。

そのため、消防法上の“義務”を超えた備えとしての保安用発電機が、災害対策・BCP対策の中心になりつつあります。

まとめ

  • 消防用発電機は「避難のために必要な設備を守る」
  • 保安用発電機は「生活や事業を止めないために動かす」

どちらも大切ですが、役割はまったく異なります。
「命を守る」だけでなく、「生活を支える」備えとして、保安用発電機の導入を検討する施設が増えています。